2022年イーグルス野手陣各論的総括1
#20221213

ストーブリーグは前半戦終了といったところで、一部の周辺やきうずきから早く総括書いてとリクエストが出てきた。少しでも期待があるなら・・・ということでホントは来年1月末にキャンプインまでのストーブリーグ入れて総括と考えていたのだが、今年の総括を野手陣と投手陣に分けて記してみよう。因みに順番は評価が高い順、原則一軍出場に関した評価です。勿論独断偏見込み込み、対する批判は甘んじて受けようと思う。

野手陣栄えある1位は・・・ 
35 しまうちひろあき
おおおしまうち打て!

いつも間にか不動の4番打者になってしまう。本人は4番は嫌だと言い続けているらしいが堂々球界を代表する4番に君臨したと言ってよい。昨年の打点王がプロ入り10年目で初タイトルで、更に4番然という評価が高まる。今年は最多安打のタイトルを獲得、打率は3割打者が2人しかいない打低投高シーズンで.298の3位、打点はトップ山川と13点差の77と中心打者として十分な数字を残している。入団当初の度重なる外傷がなければ、タラればになるがもっともっと偉大なスラッガーになっていたかも。明治大学4番打者から手前みそもあったろうに当時の星野監督が熱望しドラ6で入団した。1年目から1軍入りを果たして活躍していたことを考えるとお得なドラ戦略であった。そして島内がいなかったらまたタラればだが現在のイーグルス貧打線は更に目も当てられないことになる。よかったねえ。勿論3番浅村の存在は大きいが、島内が続かない打線はどうしましょう。また彼はどんなに打撃フォームを崩されてもスタンドまで運べる素晴らしい技術がある。もう変態レベルの理屈などない気合打ちが時々観られる。特に苦手なコースや球種などがないように見えてしまうのがすごい。左方向を意識して外角打ちにいく時などは泳いでいようが、ボール球でひどい掬い打ちだろうが左翼線二塁打などの長打にしてしまう。相手投手にしてみればホント投げにくい打者この上ない。

ただ欠点としては好不調の波というよりむらっ気が強くチャンスにバカスカ打ったと思えばダブルプレーが続く日もあり、島内が打てば勝つ、打たないと負けみたいなパターンが多い。あとはHR20本以上は欲しいね。でもでも現イーグルス打線においては最も頼りになる兄い的存在である。

頑張れ!島内

3 あさむらひでと

あさむら打て!あさむら打て!あまぎごえ!(叩き込め!らしいが)

ちょっと私的には不本意というと少し語弊があるが浅村が2位。浅村本人は特に後半は不満なシーズンと話しているからそれとかぶることになるんだけど、イーグルス野手全般としては2位にするしかないのだ。HR27(リーグ2位)、打点86(同3位)は彼にしてもまずまずな数字だが打率.252は残念だ。もっとも73で得点王、92で2年連続四球王になっている辺りはランナーを返すだけでなく、自分が出塁して得点していることの証であり、通常のレギュラー野手とは比べものにならないくらい高い貢献度を示している。いわずもがな4番島内とともにイーグルス打線の主軸である。実際には島内は独特の存在感から4番が似合ってきたのだが、イーグルスはいわゆる3番最強打者打線である。但し浅村というスーパースターはこんな数字では済まない潜在性を持っているんだが。

以前書いたが、スイング的にはメジャーアッパーから本来の強烈なレベルスイングに戻して後半戦は更にちょいアッパーにしていた。打席に入る前に例の極端なアッパー素振りをする姿は無くなったのはよいと思う。やはりメジャーアッパーは余程のずば抜けた身体能力がないと難しいし、むしろただの駄目打者になる。打率の低さは原因は複数あるもののこのメジャーアッパーではないかと考えている。それを修正してきたのは流石の浅村である。本来彼はヒットの延長で長打を打ついや打つことができる日本有数の打者だから、今のスイングの方がメリットが大きいでしょう。今年はHR20-25本くらいを予想していたのだがそれを超えてきたのはさすがです。やはり数年前から比べてしまうと衰えを感じていることは変わりないがそれでももう一花咲かせてタイトルを獲っていくくらいであって欲しいと願うのはわたしだけではない。

頑張れ!浅村

6 にしかわはるき

きりひらけ! ちゃん3-3-7

3番目は西川である。え!っそうなの?という御方もおられるであろう。今年1年を通じての成績は出場試合数108、打率.218、安打81にして三振103、盗塁19は最終的には小深田の21に抜かれる。盗塁王を獲得した昨年ファイターズで首切られただけのことはあるよね、という厳しい批判は勿論正しい。かくゆう私さえ春先の文で書いたように、既に西川は活躍すること自体がおかしいのではという意見であった。

でもねえ、1年を通してみた場合に春先の活躍はホントに西川の一流選手としての意地だけであったとしても、まずは球団創設以来走塁に関してはずっと12球団でビリ争いをしてきた我がイーグルスは西川の加入で明らかに意識が変わったんですよ。首脳陣初め選手一人一人が盗塁だけでなく走塁全般についてよく考え大きく進化したのは西川加入の賜物だ。チーム盗塁数97は何とパリーグ2位、12球団でも3位の成績でびっくり。元々走れるはずの小深田、辰己や他の若手を中心に皆を次の塁へ貪欲にさせたのは西川に他ならない。

それともう一つはやはり守備でのよいお手本となっている点だ。西川はとにかくずば抜けて初めの一歩が正確で速い。そして捕球後の送球動作移行がスムーズで速い。肩に故障を抱えているといわれているが特にそのマイナスは見受けられなかった。彼の守備のお陰でイーグルス外野の守備陣がよい刺激を受けたのは明らかで、辰己を初め島内、岡島などのベテラン勢も守備が安定した。失策数49は12球団でダントツトップだ。そう実はイーグルスはあまりそう見えないが守備のチームになったのだ。そしてレービーを含めて外野からのアグレッシブな返球が多くなったことは明らかでやはり西川の貢献度は高い。

打撃については、いろいろ悩みを抱えているようだ。すっきり解消にはなっていない。どうも観ているとボールをできるだけ引き付けて打つことに腐心しすぎのように思う。調子のよかった春先はとにかく思い切りがよいスイングで長打をかっとばしていたんだけどなあ。

来年度からはチーム全体に目を向けて若手のお手本となるプレーを是非続けてほしいものだ。

頑張れ!西川

33 ぎんじ

打て!ぎんじ!しょうりのために

またまた!と言われそうだが4位は銀次なのである。昨年までの流れを汲んで春先からは代打の切り札で渋い活躍、高打率を残してその後そのまま5番辺りのスタメンに定着、打率.300以上を維持して全盛期を思わせる高性能安打製造機となった。HRはやはり打てないものの単打を産み出すことについては相変わらず素晴らしい。そして打撃フォームは以前の銀次のスタイルに完全に戻したようだ。すなわちガニ股でスタンス幅を極端に広くし、体幹の回転は重視せず上半身によるバットコントロールだけで左中間方向を中心に打っていく独特の打法だ。元々ミート能力は天才領域で、多少泳ごうがドアスイングになろうが上半身が開こうが、またどんなコースだろうが球種だろうが単打を打つのにはこの人そんなことは全く関係なく打っちゃう天才打者なのです、長らくイーグルスファンならご存知ですね。

その天才打者にしかも全盛期で首位打者候補筆頭くらいな時にですよ、凡庸な指導者が打撃フォームの基本を教えだしたから安打製造機は大故障に至るのさ。そして全盛期は短く終わることになる。それは確かに体幹の回転で打てるようにしたくなるのは優しい父性というかコーチとしての強い矜持であろうから致し方ない。体幹が使えるようになれば打率だけでなく長打を増やせると。日本はこうした天才的個性を育てる教育はどの場面でも持ち合わせていないからだ。残念ながら高性能安打製造機はHR数が数本増えたが単打が打てなくなり壊れました。銀次は単打だけでよしとしないといけないのだよ。しかるにこの数年半レギュラーのようなシーズン生活を送ることになる。

ところが今年何かがあったらしく、本来の打撃フォームに徹底して戻したらさあ大変。今年は3割かなと思ったが・・・夏場にまたまたコロちゃん攻撃に会い、体調を戻せず後半戦は完全失速する。ただ来期は是非レギュラーに戻ってきて稀有の天才打者は今なお健在だという姿を見せてくれ!

頑張れ!銀次

0 こぶかたひろと

こぶかた こぶかた おー こぶかた!

これもやや不本意だが、上位にこぶちゃんを入れないわけにはいかない。ネットの記事によるとお父さんは理容師で子供のころはずっと夜遅くまで打撃練習に付き合ってくれたという。そして実家に帰ると今でも小深田の髪を切っているという話、切ってもらう間はずっと沈黙している話、そして気合が入る話が書いてあった。プロのアスリートの陰には指導熱心な父親の存在というのは必須だなあと感心する傍ら、そのほのぼのとしたエピソードをええいっと破り捨てるようにいうと、彼は守備が下手くそというか非常に雑である。だからお父さんは守備練習に多くの時間を割いて欲しかった。書いてあるのは延々と続ける打撃練習の話だ。

以前書いたが、こぶちゃんは子供の頃クラスで一人くらいはいる身長は小さいがキビキビした動きで運動神経の優れたタイプ。学校の運動会のリレーではスターターもしくはアンカーだよね。西川加入のよい影響があると思われるが、その才能は今年チーム一の盗塁数21であり西川を上回った辺りに立証されている。足が速いのは言うまでもなく非常によいことで守備でも球際に強い捕球技術がある。つまり内野を抜けていきそうな当たりの打球に追いつく能力は高いのだがその後のステップや送球が雑になってしまうため、また肩が強くないため悪送球が多い。折角の守備範囲の広さが活きないのである。それで今年は元々遊撃手での起用であったが、その後二塁手としての起用が多くなった。そもそも想い返してみるとこぶちゃんは昨年は当初遊撃手のレギュラーの座を奪取したのだがその後不振に陥り山崎剛が実力でそのポジションを獲ることになる。その経緯から今シーズンは当初山崎が遊撃手で開幕するのであるが今度は山崎が極度の不振に。すると代わりに出場したこぶちゃんが結構打撃で盛り返してレギュラー再奪取と相成ったのである。

打撃については多少の波があるもののコンスタントに単打-二塁打を量産することが可能である。どうも大振りすると不調になるようだ。好調時はむしろコンパクトなスイングから特に低めの球を強く叩く技術は秀でていてお父さんとの練習の賜物かもしれない。インローは特に得意なようで右前もしくは右翼線に高い確率でヒットを放つ。難を言えば打点が少ないのは1-2番を打つから大目にみたとして得点圏打率.230と低いことだ。

来年は移籍してきたマスター阿部や残留ギッテンス、山崎、茂木、鈴木大地あたりと激しい内野のレギュラー争いとなる。そのため外野守備を練習したりしているようだが外野は外野で結構競争が厳しいところだ。ただ出塁率、走塁を考えればやはり1-2番候補であることには違いなくもう一皮むけてくれれば大活躍の可能性まであり。

頑張れ!こぶちゃん

院長ノート 2022年12月13日